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「サナ~お兄ちゃんだぞー!!!」
「おに~いちゃん、って言ってみなサナ???」
物心ついた頃の俺の一番最初の記憶は目の前でバカみたいに俺の名前を連呼する "お兄ちゃん" 二人だ。
考えてみれば俺の記憶の殆どがこの二人に占められている気がする。
オレ、斎藤 真夜(サナヤ)は16年間生きてきたが、どんだけ脳ミソの中の記憶を探ってみても、この二人しか出てこない。9割がこの人達に占拠されている。
後の一割は両親と幼馴染と学校のクラスメイト(授業を過ごすため)になる。
鬱陶しいほど構ってくる兄二人。
俺ももう今年で高校になったので正直もう勘弁して欲しい。
「さーーーーなーーーー!!!」
ほら来た。噂をすれば、だ。
バンっと開かれた部屋に鍵は付いていない。
以前両親に頼み込んで兄に内緒で付けてもらったがドアを破壊されたのでそれ以降付けてません。
俺にプライバシーを与える気は全くないらしい。
「サナ!兄ちゃん達とアイスクリーム食べるよな!サナの大好きないちご味もあるよ!リビングにおいで!」
勉強を止めてチラ見すればそこにいるのは、
程よい茶色に染め、長めの前髪を右側にサラッと流したショートヘア、高身長、整った顔、色素の薄い瞳、今年21歳になる俺の兄、斎藤 真木(マナキ) だ。
その整った顔に浮かべた甘い笑み。
明らかにエサで釣ろうという魂胆が丸見えだ。
俺が最近兄達に冷たいと嘆いてるらしいこの人達の考えそうなことだ。
でも
、…いちごか、、、
暑いしアイス食べたいな…
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