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「…食べる」
イスを飛び降りた俺はまんまと兄の思惑に乗っているわけだがいちごアイスに罪は無い。
「お兄ちゃんが抱っこしてあげようか?」
「まな兄、俺もう高校生だからね?」
スタスタと両手を広げている人を通り過ぎてリビングへと向かう。
トントントンと階段を降りてリビングのドアを開ければソファへもたれ掛かっているヤツがこちらに気付く。
「おーサナ。こっちこい。いちごだぞ。」
スポーンを口に咥えたまま仰け反って俺を見るとポンポンとヤツの膝の上を叩く。
その行動の意味は一つしか無い。
今年高校生になった16の弟を膝の上に乗せようというのだ。
この犯罪スレスレな男は一応この家の長男、斎藤 真司(シンジ)。真っ黒な髪をワックスで固め両脇を少し刈り上げた髪型に、切れ長の目、程よくついた筋肉、スラッと伸びた手足、精魂な顔付きはこれまた整っていて、雄の匂いが漂っていた。
俺はその仕草を無視して男の真向かいに座り、自分のスプーンといちご味のアイスを取って食べ始める。
「…照れんなよサナ。さっさとこっち来い」
「シン兄照れてないから!!!俺高校生だからな?16にもなって兄貴の膝の上でアイス食べる弟はいない!」
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