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逆に最近余裕が出始めた俺はタカオ先輩を観察している。
電車で音楽を聴きながら、見てないふりを装いつつ俺はこっそりとタカオ先輩を観察する。
フードを被って明るい髪の毛を隠している様だが丸わかりです。先輩。
寝癖ですか?ぴょんぴょん飛び跳ねた髪がフードの中から覗いてますよ。
そしてその人を殺す様な目はどうしようも無いですね。
あ、でも切れ長の目は俺に無いものなので羨ましい。
そして唇の端にある小さなホクロを発見。
今までは彼の最悪最強説にビビりすぎて余裕がなかったが、じっくり観察してみればタカオ先輩って整った顔している。
電車を降り、自宅へ向かう。
タカオ先輩も慣れたものだ。
俺の家の場所はもう彼の第二の家の様なものだろう。
俺は訳有って一人暮らしをしている。
マンションの一室を借りて住んでいる。
スタスタ歩く俺の少し後ろを歩くタカオ先輩。
隠れる気はあまり無いのか隠れきれていると思っているのか定かでは無いがどうせならもっとちゃんと隠れるかいっそ俺の横を歩いて欲しい!!!!!!
そう思わず思って俺はひらめいた。
ピタ、と歩みを止めれば後ろの足音も止まる。
俺は一気に振り返って先輩に反応する間すら与えんというばかりに超高速で間を詰めてタカオ先輩の目の前に立つ。
あまりのことに驚いたのか固まっている先輩。首だけは横に向けて目を合わせない様にちっちゃな抵抗を見せている。
アンタそれで逃れられると思ってんのか。最強説はどこいったオイ。
あまりに幼稚な反応に気を緩めた俺はとんでもないことを言った。
「タカオ先輩。俺ん家、上がっていきませんか?」
殴られたら殴られただ。
どーせいっつも後ろを歩かれるぐらいなら、一緒に歩いた方がいーじゃねーか!!!
どーにでもなれ。そんな気分だった。
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