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その敵が人々の前に現れたのはもう半世紀も前のこと。元はかつての大戦時に使用された人型機動兵器で、長い間放棄されたものがシステム異常を起こし、人間を敵とみなしたものだった。海底都市から現れるそれに、世界は翻弄されることになる。
敵の恰好の標的となったこの小さな島国は、国を護るために海沿いにいくつもの要塞都市を作った。ここもその一つで、そして、透哉や礼香達が生まれ育った故郷だった。この要塞都市は他の要塞都市に比べると比較的安全で、少なくとも礼香は生まれてからというもの都市の直接襲撃を知らせる警報を聞いたことがなかった。
要塞都市で生まれた子供は、大人になるとある選択をしなければならない。軍または軍関連施設に所属し、この街で暮らしていくか、それとも街を出るか。直樹も礼香も街で暮らすことを、軍に所属し、この国を護る道を選んだ。
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