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俺より体温が高い彼女の指が更に熱くなったのは気のせいだろうか。
指輪を嵌めさせたい理由はただ一つ、独占欲からだ。大学に通う彼女の周りを俺は警戒していて、それらを牽制したかった。
好きにしろと言ってた俺なのに、全く逆の行動を起こしていることに苦笑する。
それを隠すように彼女の名を呼んで、唇にキスをした。
「なぁ若い子が好きなブランド知ってるか?」
「ブランド?」
「あぁ指輪を買いたいんだ」
彼女に指輪を買うと決めてから、俺はネットで調べるもどんなものがいいかわからなかった。
米倉は俺よりマメで、女性の好みに詳しい。
「ふーん」
「お前俺より詳しいだろ」
「そうかもしれないけど葉月さんほど若い子とは付き合ったことないよ。
まぁ女性の好むものなら……」
米倉は俺のパソコンを覗いて、結婚指輪が多く並べられた画面の中の幾つかを指差した。
それらはよく耳にするブランドである。
「ただ葉月さんはブランドにこだわらなくても喜びそうだけど?」
「まぁ確かに」
彼女はオモチャの指輪でも喜びそうである。
しかし、それでは意味がない。
周りが手を出せなくなるくらいの重みのあるものにしたかった。
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