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「……………はっ?」
「状況整理すると、とりあえず現状は舞台設定とプロット、冒頭文を書き終えた所ってところかな。ところどころつまんない部分もあったけど、結局のところ、ま、及第点って感じ。あ、ところところうるさいかもしれないけど私所ジョージじゃないから。そこんところよろしく。あ、またところ。」
まるで原宿で聞きもしないのに勝手に話しかけてきてなおかつ話し続けるめんどくさいギャルみたいに、金髪美少女はギャンギャン自己主張を押し付けてくる。
この真っ白な視界と彼女以外の情報が存在しない世界で、彼女の言の中には二三重要そうな単語が混じっていたように思うがそれすら忘れてしまいそうなくらいに、それはゴリ押しだった。
が、ともかくも全く状況を把握できないなかで、目の前の美少女が何かしら事情を知っているらしいことだけはわかった。
とりあえず、ケツが冷たいから立ち上がろう。それから、状況整理を始めるんだ。
「よくわからんし、だからといってたぶん一から説明されても何一つ理解できないと思うから、
とりあえずお前の名前を教えてくれ。話を進行するにあたって表記が金髪美少女のままではやりにくくてしゃーない。」
極めて平然を装って俺がそう訪ねると、kb(金髪美少女の略)はアハハと曇天が晴れ上がりそうなほど乾いた快活な笑いを見せ、
それから「主様は~この顔を見忘れて~」と勝手なことを言いつつ、
その顔半分を隠していたフードを脱ぎさってその顔を白日の下にさらした。っても曇天なんだけどな!
「シャーペンだよー!シャーペン!
主様が三年前、98円で買ってきて以来いっつもあなたの右の手のひらにいて、数多の物語を書き上げてきたシャー」
「ごめんなに言ってるかよくわかんない。文房具に知り合いはいないんだ」
「私だって人間に知り合いなんていなかったよー?でもほら、こうして擬人化したら面と向かって話せるし、したら、ね?前から体と体を密着させる仲だったんだし、知り合いみたいなもんでしょ!ね?」
「………お前の言ってること、半分も理解できん。」
「もー、鈍いな主様は。それでよく今年の電子書籍大賞取れたよね。全く。今をときめくラノベ作家にしては想像力にずいぶん欠けるね!」
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