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「………全く別物の世界、か。
確かに俺の思考回路には合ってるな。」
「だね。主様の小説、今まで一度だって実在しそうな世界を舞台にしてないもんね。」
「実在するものを設定化しようとするとな。メッチャ色々調べなきゃなんなくなるし、距離考証、気候考証、その他もろもろスッゲエめんどくさくなるんだよ。縛りもやたら増えるしな。
けど、一から作り上げた世界観だとそれが全く必要ない。なにせ、自分が考える世界なんだからな。読者がそれを知るはずがないし、余計な違和感を感じることもなく、なおかつその新鮮さに高揚してくれる。
魔法を使えるのが当たり前になっていようが、魔法学校があろうが、ホウキに乗って点を奪い合うスポーツがあろうが、トイレの下に秘密の部屋があろうが。」
「まぁ………イギリスのどこにそんな未開の広大な土地があるんだ?なんて話も、一般人を追い返す魔法をかけてあるって事で説明つけられるしねぇ。」
「だから俺は絶対に年数とか舞台となる地とかを曖昧に設定する。俺は竹取理論って呼んでるけどな。今は昔、って奴だ。
………っと待てよ。そしたら何で元和二年なんて具体的な設定が付加されてるんだ?俺の小説ならそんな事は絶対にあり得ないはずだが」
「………あのね、小説の中、っていう言い方にもうちょっと情報付け足さないとダメかも。
ここは、ノートの中なんだよ。主様の小説下書きノートの。」
「………どゆこと?」
「いい?空間認識能力を最大限に発揮してね。
ここは、主様が下書きノートに書いた世界の小説の中で、
主様はこの世界に主人公として下りてきたの。」
「………うわ、出ったよベッタベタな異世界転生フラグ」
「んー、異世界転生には似てるけど、ちょっと違うかな。自分の書いた世界に飛び込むんだから、
むしろ自世界転入って感じじゃない?」
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