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「ふう……ったく」
課長はため息なのか悪態なのかよくわからない音をだしながらスマホをポケットにつっこんだ。今日は日曜だというのに、呼び出しを食らって朝っぱらから課長のお供。いつものとおり「お披露目」なる活動らしい。正直今日は洗濯をしたかった!
「どうかしたんですか?」
「実巳からの電話。木之下が飛んだってさ」
あんにゃろ。軽い男というか学生だ(男にもなってないような甘ちゃん)SABUROではなかなか人が集まらない、というか環境が邪魔をする。
「女もダメ、男もダメ。お手上げだろうな、実巳も」
女が何故駄目か?わかりきっている、飯塚とミネが原因だ。それと正明。現に俺は面接段階で一人、女子を抹殺している。飯塚狙いが明らかだというから排除したまでだ。
基準以上の「顔」が働く以外の目的を与えてしまうのだ、バイトの面々に。それは仕方がないだろうと思う。現に俺だって、飯塚が男前じゃなかったらこんなことになっていなかったかもしれない(言ったら激しく怒るか、落ち込むかのどっちかだから、口が裂けても言えない)
仕事あがりに飲みにいきませんか攻撃。休みの日にどこかいきませんか攻撃。
飯塚→「そんな暇があったら、付き合っているヤツの家に行く」
ミネ→「こうみえて忙しいわけよ。オーナーシェフは」
正明→「無事に卒業したいから卒論に専念です。遊ぶ暇ないんですよね、実際」
だいたい1回目はナニクソ~と闘志を燃やすらしいが、5回目くらいになると諦めが入る。
そのあたりから仕事のやる気が落ちはじめる。
そして居なくなる。
だったら恋愛絡みにならない人材を入れればいいだろう、ミネはそう言ってバイトを男に絞り込んだ。「異性だから面倒がおこるんだ、そうだろ?」と自信満々の顔で。
ミネは一つ大事なことを忘れているーー正明の存在を。
天使の微笑み、いやあれは「キラースマイル」正明の笑顔はかわいいと思うが、それほどグっとくるモンでもないと俺は思う。飯塚もそう。ミネもそう。
どうもあの武器は同年輩にしか効かないんじゃ?最近そんな話をしたばかりだ、飯塚と。
まさか木之下が!玉砕を苦にして居なくなったってことだろうか?
男もダメ、女もダメ。
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