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「まずまずですね。」
「そうね。」
会場の受付に貼りついて客入りをチェックしながら、とりあえず集客に問題なさそうだと一安心。
質も悪い、数もこないとなれば営業がブータレるから、ひとまず数が予測値どおりであることにホットした。 あとは数字よね・・・。
「顧客来たらDMもって中にきてよ。あと遠方も。」
「わかりました。」
受付に正木を残して会場内に戻る。商談テーブルはおおむね埋まり、にこやかに営業がお客様と対峙していた。会場内での私の役割は、営業が付ききれないお客様の様子を伺うこと。冷やかしのお客様と興味をもっているお客様の動きは違うから、それを観察してマネージャーに伝達する。これは正木には任せられない。元営業の私だからこそ見える所があるから。
「矢部ちゃん、ちょっと。」
商談を終えたばかりの営業に声をかける。
「あのご夫婦についてみて。会場内2周しているしね。値段も見ているし、たぶん気になっているのは「スカイ」と「LA」。そうなると、けっこうなファン層かもしれないので、そのあたり見極めながらトークしてくれるかな、情報取りできたらバックして。」
「わかりました、あああ、ですね。見てますね。よしっ!」
矢部ちゃんはやる気満々でお客様に近づいていった。商談を途中で抜けてきたマネージャーが傍に来る。
「ああ~よかった。あのお客さん気になっていて。」
「とりあえず情報取り指示したから何かあったら呼ぶわ。どう?あっちは。」
「悪くはないけど、御主人がちょっと渋っているかな。少しウダウダに付き合わなくちゃいけない。その時はサッキーを抜いて私だけで商談するかも。客数にもよるけど、商談セッティングを役割として動かしたほうがいいかもしれない。」
「状況次第だね。私はここで会場内をまわすことにするから、ちゃっちゃとやっつけてきてよ。ファーストオーダーあげてくれると嬉しいなあ。景気づけになるし。」
「ほ~~~い。」
資料片手にテーブルに向かうマネージャーを見送り、目を光らせる。
さあ、初日いいスタートを切るために頑張りますか!
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