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「いらっしゃいませ。あ、こんばんは!」
ハルちゃん、君のその笑顔を見ただけで疲れが飛んで行くような気がするわ。
手際もよくなったし、真摯な接客は時々感動してしまう。押し付けがましくなく、さりげなく。笑顔と心遣い、うちの営業に研修してくれないかしら。
そしてもう一人、ハルちゃんより少し大人の眼鏡君が入店した。福眼材料が増えて、ますますこの店の女性客を喜ばせることになっている彼。
おっとりしているその柔らかさが心を癒すのよ。
料理を運んでいる途中だったハルちゃんにかわって、眼鏡君がテーブルに案内してくれる。
ええと、名前なんだったけ。
「キャリーはレジ脇に置いておきますね。」
章吾からキャリーを受け取り運んでくれた。
メニューのおすすめを見て思い出す。そうそう「トア君」だった。前に聞いたんだった、本名から二文字とって実巳君がつけた呼び名だったはず。
厨房をみると二人が忙しく立ち働いていた。視線を感じたのか実巳君が顔をあげて私を見た。 嬉しそうに手をふってくれたから私もブンブン振った。
店内の女子客の視線がいっきに私に注がれる。うわっ、ちょっと怖いわね。
でも私の向かいに座る章吾に目をやって彼女たちの表情が緩む。ええ、下心はありませんよ、私は料理とスタッフの大ファンってだけで、狙ったりしてません。
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