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あれから次の日がたった。
美優は通常通り学校に来ていたがなんだか物憂げな様子だった。
本人から話を聞くと、どうやら寝る前に鬼の手に頭を捕まれ襲われたらしい。
間一髪のところで無意識に呪文を唱えたのだとか。
その話をしている時には真弓もいたが、その呪文はシオンが唱えさせたのだという。
シオンが美優の身体を借りたらしい。
それから暫くの事だった。
私も美優もシオンについて真弓からの話を興味津々にただ、純粋に聞いていた。
けれども真弓は徐々に何でも聞いてくれる事に甘え出したのか、私と美優からちやほやされる事に鼻が高くなっていったのか、中高生特有の闇に触れたか、話はほとんどシオンの事だった。
真弓はシオンに対して恋愛感情を抱いていた。
シオンは呪術に長けているが、そのデメリットに関しては絶対的に説明不足故に、真弓は更には気に入らない人を呪うようになった。
徐々にエスカレートしていくのをただ黙っているしかなく、2人ともどこかで真弓に対して恐怖を感じながら話を合わせるようになっていた。
ある日、美優が図書委員の業務をこなしている時、図書室に本を返しに立ち寄った私とばったりと会った。
美優と挨拶を交わす。
そして珍しく彼女から話しかけてきた。
「真弓とシオンの事なんだけど…どう思う?」
「お互いベッタリな感じあるよね。」
「そうじゃなくて、シオンって本当にいると思う?」
「多分…。
何故?」
「少し前にね、私の開いてる教科書のページをシオンに見てもらって見えない位置にいる真弓に当てて貰うっていうゲームをしたのね。」
それって自信がないと出来ない事だよな…。そんなゲームでシオンがいるのか調べようなんて美優ちゃん、疑ってるんだ。
「そしたら、真弓がね、教科書を見てたの。」
「え……。」
それを聞いた瞬間、疑わないという固い気持ちが容易く揺らぐのを感じた。
私も何処かで信じられないという気持ちがあったのだろうと気づかされた。
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