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「穿の…ばか…。
わたしはどうせ可愛くないわよ…」
穿がいなくなると真弓が戻ってきた。
それから高尾山口駅からの始発が出るまでの間を眠気と戦いながらひたすら待った。
気温もかなり低くく、寒い。
明け方3時に下山する事になった。
まだ太陽は昇っていないので辺りは暗い。
下山する中で私は何度も立ち止まりそうになった。
何かに阻まれているかのように思うように前に進めないのだ。
まるで台風の強風に煽られ、前に進めなくなるような感覚だった。
風は止んでいる。
私は何となく、後ろから何かにひっぱられているような感じがした。
すると真弓はそれを察知したかのようにタイミング良く私の手を引いて山を下る。
やっと下山した後、真弓はボソッと呟いた。
「紫乃の背中に小さい手が引っ張ってるのが見えた。」
私は麻痺した恐怖心が再び蘇った。
怖すぎる。
ファミレスで御飯を食べながら二人は談笑し、お互い無事に何事もなく夜の旅を終えて解散したのだった。
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