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「男って本当に上下関係な使役が好きよね…。
私は使役は嫌いよ。
というか…いらない正義だわ…。」
バイトを終え、家に帰るとやはりリュウエンは静かに此方を睨み据えていた。
正確にはアキを、だ。
紫乃の霊視ではあまりよく見えないが、気配だけは凄く感じるので、いるのはわかる。
紫乃はアキは幽界にいる方がいいような気がしていたが、どうやら彼は自分に置かれた状況を単純に面白がっているようだ。
『ねぇ、紫乃。さっきの九字を切った時、何故私に効果を示さなかったかわかる?』
「アキが彼より強いから?」
『違うよ。はぁー…まだまだ修行が足りないな。』
「な、何?!教えてよ。アキのケチーっ。」
本当はあの時、アキは紫乃を制しはしたが、紫乃は単純にアキを守りたいという気持ちからとっさに力を発動していた。
アキに結界をはったのだ。
本人は気づいてないようだが…。
あの子の存在は紫乃の良い刺激剤となる。
故にアキは面白がっていた。
紫乃が必至に自分を守ろうとするのを見ると愛しさが増す。
イツキに過保護だと諭されたことだし、良い機会だから暫く大人しく見守るとしようか、などと思いさえする。
あと残る問題は…穿だな。
アキはこちらを睨み据える式神を興味もなさげに眺め見ていた。
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