新たに蠢めく闇

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最初の自分が生まれたのはいつの時代だったか。 最初は人の憎しみが寄せ集まり具現化しただけの存在だった。 その存在はいつの間にか人々の呪いを集め膨大になり、幾多の魂を求めた。 みすずの生前のはるか昔の名前など、とうに忘れたが、その女こそ己の中に存在する魂の一部だ。 己の不運を嘆き、呪い、周りの人間さえも呪った。 妬んだ。 憎んだ。 昔の感情は今の出来事であるかのように鮮明に浮かび、変わらず沸き起こる。 霊界からすれば己の存在は厄介な存在以外何者でもない。 雪華は自嘲気味に笑う。 霊界も現世も幽界も神界を除き全ての魂が平等ではない。 神界は未だによく分からぬ。 神界とは悪念の塊は近づくことさえ叶わぬ精密な霊気の塊が集う場所。 推察は可能だが、そこも平等では無いのだろう。 何故なら日本神話がそう物語っている。 この世の魂だけで言えば ある者は痛みを背負い、 ある者は悲しみを背負い 憎しみを背負い、 またある者は清き魂故に、神界から重荷を背負わされる。 人は常に己に無いものを求めて生きていく。 そうなるように出来ている。 それが自然の摂理。
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