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紫乃は日々修行に励んでいた。
暫く経ち一年の半ば頃から除霊から更に浄化、戦闘、ある程度は習得する事ができた。
しかし、これはあくまでも自分の防衛対策としてだ。
人を救うまでの程ではなかったし、紫乃は救う気など全くなかった。
この力に関しても誰にも言うことなく、生活していた。
大学生活もそれなりに友達ができ、高校の時より心を入れ替え勉学に励んだ。
アルバイトもする事になった。
とある神社の巫女として土日だけ奉仕をする事になったのだ。
巫女と言ってもお守りを売るくらいの内容だ。
現代で言う巫女と昔の巫女とは違う。
昔の巫女は神憑り的存在で、シャーマンやイタコとも呼ばれた。
読んで字の如く神をその身に降ろし神託を行う事ができる特殊な存在だ。
現代の巫女は紫乃を含め何ら普通の女の子と変わらない事が多い。
強いて言えば巫女になりたがる者は大体神の存在を信じていたり、霊などを感じたり見たり出来る霊感体質の者が多いという事だ。
アキも巫女装束を着た紫乃をみて似合うねと褒めてくれた。
時刻も17時となり、授与所を締める作業をしている時だった。
突然男の人から話しかけられたのだ。
アキは傍にいない。
異界に雪華の足掛かりを探しに行くと言ってイツキと何処かへ行ってしまっていた。
髪は黒く背は少し高め。格好はラフなジーンズにVネックのポロシャツを着こなしている。
ネックレスや数珠などのアクセサリーがジャラリと付いていて今時の子っぽくオシャレに見えなくもない。
歳も紫乃と同じくらいに見える。
「お守りが一つ、どうしても欲しくて…。いいかな?」
「は、はい…どうぞ。」
仕舞いかけたお守りを再び出す。
男はお守りを選び、お金を出した。
それを取ろうとした時だった。
「君、異界の匂いがする。異界に関わってるだろう?」
「…………!!」
私の反応に満足したのか、満面の笑みで手をヒラヒラしながら去る。
「またね、巫女、さん。」
こちらを向いて待っている様子の連れの男の人のもとへと戻っていった。
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