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そして暫くして目を開けると、額の烙印が薄っすらとなり、後に消えていった。
「すまない。助かった、礼を言う。」
クールな顔が少し綻んだ。蒼い瞳が優しくなる。
「これは一体誰が施したものなの?」
「青緑の髪の男の霊を連れた女術者だ。
中々にして己の力に溺れている自信家だ。俺を使役すると言うのだ。
青緑の男はこないだそなたの傍にいた者だったからてっきり女術者はそなたかと思ってしまったが、そうではなかったようだ。安心した。」
「あ、お…みどり………」
紫乃は頭が真っ白になった。
「どうか、したのか?」
青年は心配そうに覗き込む。
「ううん、大丈夫…何でもない。でも次からは気を付けてね。
それと…私、そろそろ戻らなきゃ。」
震える声を必死に隠す。
「そうか。そなたも気を付けろ。そなたの力は蜂蜜のように甘く霊を惹きつける。
未だ未だ無知で無防備のようだからな。
もし何か困った事があれば俺を頼るがいい。
我が力でそなたを助けよう。俺は千生(イツキ)だ。」
「う、うん…。ありがとう。」
イツキと名乗る青年がいなくなった後、紫乃は穿の元にと強く念じた。
するととある場所へと瞬時に移動する。
いた…。
エメラルドグリーンの髪が夜闇に生える。
空には満開の星が散りばめられている。
少年は静かに見上げ、両手をポケットに入れていた。
西洋の特徴のある服装が肩幅が紫乃の見慣れたそのものだった。
あの彼独特のクールさと明るさとが混ざった雰囲気。
間違いなく穿だった。
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