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ご奉仕を終えてから着替え終わると、アキが現れた。
人混みが多い為、結界の貼ってある家に帰ってからお互いの近況をゆっくりと話し合うことになった。
「どうだった…?雪華の足掛かりは。」
『特に掴めなかったが、自然霊達曰わくどうやら自然災害が異常に現界で再び活発化しているようだよ。
雪華の封印が解けてからと時期が重なるし、何かしら原因があるかもしれない。
恐らく、現界と幽界を往き来しているんじゃないかな。
』
アキは難しい顔を見せた。
「一緒に探索しに行ったイツキは何処にいるの?」
『イツキは幽界の家でのんびりしているよ。』
幽界の家とはアキが探してくれた家で雪華などの悪霊がこれない上層界にある。
そこの界に住む者は皆、食事をとらない。
イツキは真面目な雰囲気がある好青年だ。狐にしては珍しい部類らしい。
アキも真面目に見えるのだが、お互いの真面目さは何処か違うところにある気がする。
「イツキって真面目だよね。」
『でも大人しい顔して意外にプレイボーイだよ、彼。
この前も一つ下の層で何人か女性が現れて共にどこかへと出掛けていったよ。』
普段は真面目だが女性関係では真面目でないらしい。
「え…。そうなんだ…。ち、ちなみにアキも行くの?」
『ん、私?私は…』
紫乃は疑り深くアキを凝視する。
アキは笑いを堪えた。
『内緒』
紫乃は納得いかない様子だ。クッションを抱いてむくれる。
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