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つまり、幽界の物質は非常に微細なんだ。
だから現界の人間には能力者を除けば見えない。
幽界と現界は絶えず連動している。
故に現界で建物が壊された時、幽界に現れる。
私達が今此処にいるこの家屋も恐らく現界に昔存在していたものだ。」
紫乃は家屋を天井から周囲を一周して見渡した。
どこか古くて懐かしさを感じさせると紫乃は思った。
「私の身体も紫乃の身体も今は幽体という器を使って此処にある。
この層の幽界は幽体は食事はとらないのが基本なんだが…」
アキは言いにくそうに言葉を詰まらせる。
「食欲とか色欲とかに貪欲な未浄化な霊達?」
「そう。下の層の界にいる者達、すなわち如何しても、麻薬というか習慣が抜けられないというか禁欲的過ぎたのか必要ないのに酒や食事を摂取している霊もいるね…。
現界の人間とセックスをしたりね。
この幽体で幽界の物を摂取しても欲望があまり満たされないんだ。
そうすると霊達はどうすると思う?
」
紫乃は暫く考える
「現界で人に取り憑く。」
「そう、人に取り憑いてる霊達はやはり、何かしらの未練や恨み、欲望がある者達だ。
幽界で欲望を満たせず、現界に訪れ人間に取り憑いて酒を一緒に飲んだり、食べたり、やがて同化し離れられなくなり、通常の人間の形態を失い、地獄に堕ちる。
霊の立場からして人に取り憑くということは確実に悪業であることは確かなんだよ。」
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