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「修羅場?!女性には優しくしなきゃダメよ、イツキ。」
「違うぞ、二人。少しタチの悪い者に絡まれただけだ。
それより、二人は何処かに行っていたのか?」
アキは傷口を塞ぐと静かに立ち上がる。
「幽界探索ってとこかな。
紫乃は今日はもう帰りなさい。
私はイツキの面倒を少し見てから現界に行くから。」
「わかった。」
紫乃は現界へと降りていった。
イツキとアキは暫く沈黙の後、アキから沈黙を破った。
「さて、何があったのかな。」
「そなたは誤魔化せぬ相手なのだったな。
最近幽界にて、悪霊達が活発化しているという事だ。
どうやら其奴らの手段が非常に巧妙で狡猾らしく、綺麗な女性や男性に扮して幽界にいる霊魂達を自分達の下層界側へと引きずり落とそうとしているらしい。
此処には死後間も無い者達や、夢層界には現界の者達が睡眠中訪れる。
そういった無知な者達を巧妙に騙し、自分達の側へとやろうと必死になっているようだ。
」
アキは難しい顔を見せた。
「活発化した原因はおそらく雪華だ…。
紫乃が成長するまで待っている事は出来なさそうだね。」
「俺は思うのだが、アキ。紫乃を少し甘やかし過ぎではないか?」
アキは苦笑した。
「そうかもしれない。
だが、あの子は後天性の霊的感知能力者だ…。
後天性は本来ならば目覚める筈のなかったサイキック能力が目覚めてしまうということ。
今の欲にまみれた現世では、正直生きにくい。
実に悪の道に染まりやすいのだ。
あの時母親を呪殺しようとした時みたいにいつ何時暴走するかわからない。
愛情不足に育てられた子供は負の感情に陥りやすく、やはり殺人や、イジメなどの非行に走ってしまう子が非常に多い。
」
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