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次の週の日曜日だった。
紫乃はいつもと同じく巫女衣装を着て御守りを授与所にて販売していた。
アキは横で暇そうに参拝客を観察していた。
『この子は凄く霊感あるね。』とか
『この少女はこんな優しい顔してるけど悪魔だね』とか
『このカップルは一見ラブラブだけど、男の方が飽きてるな』とか
聴こえてくるたび、その人達を見る目が変わってしまうのだった。
丁度夕刻の頃だった。
参拝客も足早に帰宅して行く頃合いに例の青年は現れた。今回は一人みたいだ。
「やあ、また会ったね」
軽やかに微笑む。
紫乃は動じず一例した。
「お参りご苦労様で御座います。」
すると青年はふとアキのいる方角をジッと見据えた。
紫乃はドキリとした。
『へぇ、彼、私が見えてるね。』
アキが面白そうにつぶやく。
紫乃はゲッと顔をしかめた。
「君の横にいるその霊…。人のナリをしてるけど蛇だよね。蛇は邪霊だ。」
「え…??」
紫乃は目が点になった。
「君、その霊に取り憑かれてるよ!君の生命力を奪いとるつもりなんだ!」
『なるほど、そう捉えたんだね。』
アキはカラカラと笑う。
「ちょっと待って!アキは違うのよ。」
「無知な霊媒を狙うなんて許さないぞ。邪霊め、俺が除霊してやる。」
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