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紫乃は勢いよく立ち上がる
「やめて!アキに手を出したら許さない!」
アキを背後に庇う。
「でも、その霊は危険だよ。見た目に騙されてはいけない。
待ってて除霊すれば君も正気に戻るはずだ。」
青年は紫乃の言うことを聞く事なく印を結び九字を切り唱えた。
「臨 兵 闘 者 皆 陳 裂 在 前!」
紫乃は自分の力で九字を解除しようとしたがアキに制された。
そしてアキは紫乃に「大丈夫」と一言だけ告げた。
周りの視線が痛々しく集まる中、アキはケロリとしていた。
『残念だけど、私には効かないよ。悪霊ではないし、君より弱くないし。』
すると社務所から中年の神主さんが現れ、こちらへと向かってくる。
紫乃がこの青年に絡まれていると思って心配して来たのだろう。
「くっ…!巫女さん、俺は大輝(タイキ)。
君の傍には俺のリュウエンをつけておくから何かあったらコイツが助ける。
おい、蛇。悪さするなよ!」
そう言うと早々と退散していった。
代わりにリュウエンという、謎の霊体がポツンと紫乃の目の前に立ち尽くしていた。
中国の武将の様な服装だ。
暫くすると姿が消える。
『ああ、彼は陰陽道の子なんだね。
リュウエンという霊はおそらく六合だ。使役霊、つまり式神だね。』
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