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「分かった。」
タイキは紫乃にガラスの壁と似た結界を施した。
紫乃は身動きできなくなる。
「ちょっと!何するの。」
「巻き込まれたら危ないから。」
タイキは真剣な面持ちだ。
紫乃はかなり腹立たせていた。
あの勘違いな術者をどうしてくれよう!
とにかくこの結界を壊さなきゃ。
2人が危ない。
相手の式神は3体。おそらくかなり場数を踏んでいる。
イツキでは恐らく役不足だ。
アキの力量は未知数だった。攻撃は好きではないと言っていたし、防御に特化した者だ。
それに本来の力を封印している。
タイキが式神達に指示を出した。弱い方からヤレと。
一斉にイツキを狙い襲いかかる。
アキは一言のみの呪を唱える。
式神達の足に鎖が巻きついた。
身動きとれない状況になり、イツキが薙刀を振りかざす。
タイキは即座に鎖の呪縛を消し去るがアキはその隙をついてイツキに結界の壁を作った。
タイキを狙うにも式神が目を光らせているのだ。
今アキがタイキに手を出すのはあまり良い作戦とは言えないし、三体の式神とイツキが戦えば、イツキをサポートする側になってしまう。
式神の一体がタイキの前に出る。
「主人(あるじ)よ、あの蛇を先に狙わねば先手を打たれる。あの蛇は恐らく、術師との戦術に手慣れている。」
それを聞いてもアキの表情は何一つ変わることがなかった。
「さすが、先祖代々から血の鎖に繋がれ伝わってきた古い時代からの式神だね。
私は君とは違って人間、特に呪術者的な存在が嫌いで抵抗し続けてきた側なんだよ。」
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