第1幕『璃乃』

2/31
369人が本棚に入れています
本棚に追加
/508ページ
~璃乃side~ 私は今、大きなキャリーバッグを引きずり チェロの入った大きなバッグを引ずりながら 坂道を上っている。 (なんで…なんで…こんな坂道なのよ!!) 半分、イライラしながら まだ続く長い坂道を眺めて溜め息しか出ず。 出張の多かった父の再婚で 私は引っ越すことになった。 めでたい事に、お相手…私の義母は 某有名な女性向けの アパレル会社の女社長さん。 おかげで逆玉の輿の父は婿入りし 自分の仕事を辞め 義母のサポートに回ると言って 海外出張中の義母について行ってしまった。 なので私には義母の連れ子の 『兄弟』ができるらしく ただいま、父と義母に言われた通りの家に 向かっている最中。 (はぁ…。どこまで続くのよ!この坂は!! こんなんなら 引越し屋さん頼めば良かったかも…) 正直、今まで1人で暮らしてきたようなものだから 人と暮らすことにも抵抗がある。 それに…何よりも私は人と関わるのは…。 (苦手…なんだよね。だって…私は…)
/508ページ

最初のコメントを投稿しよう!