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「でも、考えてもみてくれよ。この涼しい環境を作り出す為にどれだけの電気量が必要で、その電気量を国中の人間が使えば資源の減りは加速する。エネルギー自給率が低いこの国でそんな余裕は……」
「あーちょっとタンマ。そんな熱く語られても暑苦しくて茹だっちまう」
気を使ったのかマスターも温度を上げようと……って、そんなボタン連打するの止めて!? 地味に30度突破してるんですけど!?
マスター落ち着いて!? び、くぅぅぅる!
「お前のせいでマスターが気温ガン上げしたじゃねぇかよ! マスターに謝るか責任を取れよ!?」
「ふむ。それじゃあ責任を取ってそれじゃあ、あつくない話を提供しよう」
「あつくない話?」
涼しくなる話は聞いたことがあるけどあつくない話ってのは聞いたことがないな。
「そう。むさい話をすれば鬱陶しいからね。聞けば涼しい気持ちにさせる話をしようと思ったんだ」
「そいつぁ良い考えだ。じゃあ頼むぜ」
「そう言えば小太郎。キミはプールは好きかい?」
「おう。好きだぜ。まあ、こんな暑い日だと水温も上がっちまうが、やっぱり水ってぇのは心地良いもんだしな。やっぱし水特有の不思議な感覚を味わいつつ体も冷やせるってのは、なかなか無えもんだ」
「そうか」
……。
……。
「もっと話を膨らましてぇっ!? 全然会話になってないんですけど!? 警察で尋問する人ですら、もっと詳しく聞いてくれるレベルで盛り上がらないんですけど!」
「キミが言っただろ? これは『厚く』ない薄っぺらな話をしろって」
「そういうこと!? あつくないってそういうことを言っちゃうの?!」
思わず立ち上がって大声を出す俺に周囲の目が突き刺さる。
くそ、恥ずかしい。顔が熱くなってきやがった。
「俺が欲しいのは涼しくなる話なんだよ。別に薄っぺらい話が欲しいんじゃないんだよ」
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