それは暑い暑い日のこと

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「なっ・・・・・・」  俺の心の中を言い当てられただと?  そ、そんな馬鹿な。こいつ実はまさかエスパーなのか? 「いや、違うよ。心理誘導と人間観察さ。君の視線が僕のパフェとフルーツジュースを飲む美しい僕の顔面に向けられていたからね。あぁ、君のことだからお子様セットとか思ってるだろうなって」 「まあまあ、正解だけどさ。お前の顔面に対して不必要な情報が付け加えられてたぞ? 美しくはないからな。お前の顔。むしろ平凡すぎてちび○子ちゃんの小杉君を連想させる顔だからな」 「小杉ってデブじゃあないか! 僕の容姿についてあまり描写されてないからって適当なことをつけくわえるんじゃあない!」 「悪い悪い、ジョーダンだ。そんなに責めるなよ」  文教は口も性格も悪いけど顔だけはマシであると付け加えておこう。  そこそこにモテそうな顔をしてるけど、口を開くと女性陣がドン引きするというまあ、なんとも残念な男なんだよな。  あと、地味に打たれ弱いへたれであるとも追記しておく。もっともヤツがそう思われてるとはヤツ自身思ってないだろうけど。 「それじゃあさっきの話に戻るけど、もし俺がお前の言ったことに対して『違う』とか言ったらどうするつもりだったんだ?」 「その時は『彼は恥ずかしさのあまり嘘をついてしまう精神的弱者なのである』と付け加えるだけさ」 「なにその風評被害!? かなり迷惑なんですけど?!」 「あと『不意を突かれた彼の胃はまるで山根君のようだった』とも付け加えておくとしよう」 「やめたげて! 山根君、胃は確かに弱いけど悪いやつじゃないんだからそんな風評被害はやめたげてよ!?」  胃が縮こまることはよくあると思うけどな。俺もバイト先の面接のときとか吐き気したし。  こいつは山根君に対して親でも殺された恨みでもあるのか。 「ふぅ、で、何の話だったっけ?」
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