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「でな、ナターシャ、さっぎの古川さんの話しだけども、殴るのはわがね。やめーのはやめーから」
「アイツが美羽にちょっかい出さないなら、私だってそうする」
鳶色の澄んだ瞳は美羽に決然として言い放つ。
「だども……やめてな。ナターシャが心配で心配で」
「でも、そうしないとこのまま二人はずーっとずっとあの古川にいじめられるんだよ。ふざけんなよ」金持ちだからってやっちゃ悪い分別はあるはず。
目線は車窓から美羽に移り、憮然とした表情で素朴な美羽を睨む。
悔しくないの、美羽。
あんたはすっごい良い奴なのに……古川。だけど、美羽の言い分もその通りだったので、アイツが先に喧嘩を売らない限り絶対に買わない。
ナターシャは心臓辺りのイガイガを押さえようと、胸元をさすり学校近くの最寄りの停車場までやり過ごす。
転校して二週間でこんな事になるなんて……想像だにしなかった。
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