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ころころ無邪気に表情を変える美羽に、苦労かけたくないナターシャは心配しないでと自分の胸を張り、トンと拳で叩く。
数日後、何の連絡もなかった。寸止めにして古川が腰を抜かしたのが彼女のプライドに障ったのかもしれない。
だったら、初めっからやるんじゃねえよ、とナターシャは美羽に抱きつかれながら思った。
それにしても、学校の廊下で抱きつかれるのはなんだか気恥ずかしい。
「謹慎もねえなんて、ありがてえ。わあ嬉しい」美羽は正直を露わにする。
「そんなに喜ばなくても」
「ああ、わは地元で私の意味だ。なあ、ナターシャ、いっつもわがんねえ言葉しゃべってすまんね」
抱擁を止め、ぺこりと美羽はナターシャに頭を下げる。
「いいって、もう慣れたし。私達親友じゃん。わあも嬉しい」
美羽は湧き上がる気持ちを抑えず、ただ受け入れナターシャに抱きつく。
「親友、親友。わあとナターシャは親友だあ」
「うんうん。じゃあ、帰ろうっ」
そう言うと、ナターシャの隣まで走り、額に微かなニキビがある丸顔は林檎みたいに真っ赤になって、つやつやしていた。
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