花に惹かれて

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花に惹かれて

 通学路の脇にある公園。そこに見たことのない花が咲いているのを見つけた。  他にも花は咲いているが、一輪だけ、周りとまるで違っていた、なんとなく気を惹かれる。とはいえ、摘む気どころか触る気もなくて、そのまま放置した。  翌日、その花に蝶々が寄って来ていた。きっと蜜が目当てだろうとだけ思い、通りすぎた。  さらに翌日、今度はその花に一羽の小鳥が寄って来ていた。  鳥にも花の蜜を吸う種類のものがいるから、きっとその類だろうと、通りすぎた。  その翌日は、一匹の猫が花を見ていた。  猫が花に興味を持つなんて珍しいなと思ったけれど、またたびなどで酔うというから、似たような香りがしているのかもしれない。  さらにその翌日。今度はそこに犬がいた。人間の見立てだが、好奇心の旺盛そうな小型犬で、花を玩具か何かと思って興味を示したのかもしれない。  その次の日は、今度は結構な大型犬が花を見ていた。  興味を示すようには見えないが、よほど気を引く匂いがするのかもしれない。  さてその翌日。花を見ているのは子供だった。  それ自体には特に思うところはなかったが、やたらと茂った葉や茎の下の土が、微妙に盛り上がっていることに気がついた。  確認できる土の膨らみは四つ。大きさが、鳥、猫、小型犬、大型犬に見えるのは気のせいだろうか。  最初に見つけた日と比べて、大きさは変わらないけれど、何だが色艶が増したように見える花。  もし明日、五つ目になる、俺の予想通りの大きさをした土の膨らみが目に入ったら…俺は膨らみの一つになりたくないから、この先は通学路を変えよう。 花に惹かれて…完
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