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1.日常
携帯電話を使ってメッセージを送る事なんかしなかったのに、毎日たどたどしい指つきで叩きながら、メールを送る様に成った。
”今、着いた。少し話せる?”
”ん。おかえりなさい。10,5分位待てる?”
”もちろん、夕食, 食べとくよ。”
私は、相手の表情や声の様子が分からないこのコミュ二ケーション方法は好きではない。とゆうか、タイプをするのに時間がかかるし、イライラするので、嫌いだ。
私は、急いで食事を済ませて皿を洗い、煙草を持って外に出る。この煙草、クローブとインドネシアのスパイスを合わせたミニ葉巻で、子供の頃、バリ島で暮していた私には、とても懐かしい香りがする。娘が生まれて以来、14年間止めていたタバコを昨年の12月位からまた吸い始めているが、これといった罪悪感はない。
その煙草に火を点け、何時もの散歩コースを歩きながら、彼女からの連絡を待ち、”話せるよ。” のメッセージの後、すぐさま折り返し電話を掛ける。
「はい、もしもし、、、」 彼女の声は何時もの様に、少し元気がない様な、眠たい様な、、、
「ただいま。」
「おかえり、お疲れ様。」と、この時点では、優しげな声に成る。
私は、彼女のこの声にホッとして、癒される。 この瞬間の為に、彼女と会話して繋がっている時だけの為に、毎日を生きていると言っても過言では無いとおもう。
「元気だった?」
「ん。少しさびしい、でも大丈夫。りょうは?」
「元気だよ。ねぇ、この間の話しの続き、聞きたい?」
「聞きたーい。」と少し甘えた声。
「じゃぁね、昔の話。」と、私はまだ書き終わっていない話の続きを、彼女に話しはじめる。
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