2. 三回忌

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  「別に、構わないけど、、、じゃぁ、一緒に行こうか、サチ。」と答えて、アキが眠るお寺に行くバスの停車場に向って二人で歩き出した。  サチは何時に無く無口で、下を向きながら俺の横を歩き、俺をチラチラと横目で見る。バス停に着いても何も言わずに、自分の足元をじっと見詰めているので、  「どうしたのサチ、どうも様子が変だよ。」と声を掛けると、彼女は下を見たまま、 「こうやって、先輩と二人きりに成るの初めてやけん、少し緊張しとう。あの、質問があるちゃけど、よか?」  「順子さんが、先輩には、お姉ちゃんに似た彼女がおるって手紙に書いてたと、、、その人、どげんしたと?」  俺は即答ができず、自販機で缶コーヒーを三つ買い、その一つをサチに渡してから、コーヒーを口にした。サチは、俺をまじまじと見詰めながら、返事を持っている。  「そうやね、、、その人とは、今日子さんとは、別れる事にしたんだよ、、、」と答えた時、バスが目の前に止まったので、その人気の無いバスに乗り込み、一番後ろの席にギターを置いて座った。  サチは俺のギターの横に座り、 「どげんしたと?」と小さな声で聞く。  俺は、コーヒーにまた口を付け、窓の外を見ながら、 「あまり詳しくは話したくないけど、、、彼女の家族から、猛反対されたんだ。それに、俺には責任持てないし、それだけ。」  「ふーん、、、そげんとね、、、」と言い、しばらく黙っていたが、  「やっぱり、りょう先輩は、お姉ちゃんの事、忘れられんとやろ。だからその人も、お姉ちゃんに似てたっちゃないと?」と俺の肩を叩いて聞く。  俺は窓の景色から眼を離し、サチの方を向いて、 「そおかもしれないし、そおじゃ無いかもしれない。確かに今日子さんは、アキに似てる。でも、それ以前に、愛してると思う。だからね、、、無理なんだ。なんかね、ここには、俺の居場所が無い気がする。」  「それ、良く分からんよ?どげんして?」  「サチには、説明しても分からんと思うし、せえへん方がええかも。」  「先輩、関西弁、、、そげん難しか事ととね?」  「んん、、、俺にはどうしょうもでけへん事が理由やから。」
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