第一章

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水族館につくと、大きな水槽の前でイワシの大群を見て、 「綺麗ー!」 と言った彼女。 俺は、「美味しそう。」って言ったら、 「それは、ここでは言っちゃダメでしょ。」 って、つっこみ入れて、笑った。 その後も、たいして面白いこと言ってないのに、俺の言葉に、ケラケラ笑ってくれた。 ショーを見たり、ご飯を食べたりして、館内を一周してから、 ショッピングセンターを周ったり、 彼女が見たいという雑貨屋にも立ち寄ったりして、 イタリアンレストランで夕食を食べた。 些細なことでも笑ってしまう、そんな彼女といると、俺も楽しくて、 彼女と過ごす一日は、あっという間に夜になった。 一人暮らしの彼女を、あんまり遅くに帰すのもよくないと思って、駅に見送る。 専門学校の俺たちは、 「じゃあ、また明日!」 と高校生のカップルのように駅で見送って別れた。 ちょっとは、もう少し深い仲になれるかなっていう期待もあったけど、 「一緒にいられるだけで幸せ」って言ってくれて、 手を繋ぐだけで照れてる彼女をみたら、 それ以上は、何も出来なかった。 だけど、一緒に過ごして、見送っても、 またすぐに彼女の顔を見たくなった、 またすぐ会いたい、もっと一緒に過ごしていたかった、そう思った。
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