第一章

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専門学校では、実習が同じクラスになった隣の席のヤツ(男)とすぐに友達になった。 最近は、そいつと、昼飯を食べている。 学校前のコンビニで、昼飯を買って待ち合わせしていた食堂へ向かう。 食堂の椅子に座っているヤツを見つけると、ヤツの前に女の子が立っていて、 笑いながらなにか話していた。 相手の子を見てみる。 背が低くて子柄だけと、笑顔が明るくて元気そうな子、 少し離れた場所からみた彼女は、そんな印象だった。 ヤツの隣に、会話を遮らないようにそっと座った。 俺に気づいた彼女が、俺を見て、何度も瞬きして、あからさまに固まった。 俺は、一応、会話を止めて遮ってしまったお詫びと、初対面の挨拶のつもりで、頭だけ下げて一礼した。 彼女は、さっきまでの笑顔とは明らかに違うカチカチの作り笑顔で、俺に頭を下げて、 そのあと、ヤツに「じゃあ。またね!」と言ってすぐに行ってしまった。 聞くと、違う曜日のクラスが一緒で同じ班になり仲良くなった子らしい。 しかも、午後の実習では、ヤツと俺とも同じクラスの子だと言う。 午後になり、実習が始まり、準備で、実習に使うフラスコを取りにキャビネットへ行くと、昼休みさっきヤツと話していた彼女がいた。 前から同じクラスだったのに、こんな子いたんだと初めて気づいた俺。 背が低い彼女が、背伸びして、高い戸棚に手を伸ばしていた。 「……大丈夫?これ?」 そう言って、俺は、彼女にとって渡した。 「どうも、ありがとう。」 少し顔を赤くして、照れた笑顔で礼を言われ、俺まで顔が赤くなる。 女っけなく、高校時代過ごしてきた俺は、 女の子に興味なんか持ったことなかった。 名前も覚えるのも面倒くさいくらいだった。 だけど、不思議だ、 彼女の容姿と名前は、初めて話したその日にすぐに覚えた。 それ以来、すれ違うたびに、挨拶して、よく話すようになった。 もともとヤツと話していたときも、気さくな性格な彼女。 俺ともかなり気さくに話すようになっていった。
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