第一章

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土日、彼女は8時間くらいバイトをしていて、学校帰りにお茶したりするくらいで、なかなか休みの日は会うことはなかった。 俺は、深夜に数時間だけコンビニでバイトしていたけど、 休みの日は、昼は趣味の釣りをしたり、高校からの友達と会ったりして過ごしていた。 そんなんだから、休みの日は会えないもんだと思っていたら、 彼女から、 「今度の日曜日、バイト休みだから水族館へ行こう」 とデートに誘われた。 学校帰りに会うのとは違う、 特別に待ち合わせなんて、 遠足の日を心待ちにしてる子供の頃のような感情を思い出す。 水族館なんて、何年ぶりだろう…。 ーーー当日。 俺は、少し待ち合わせ場所に早めに着いて彼女を待った。 待ち合わせ時間ぴったりに現れた彼女。 なんか、いつもと雰囲気が違う。 清楚な服装、そしていつもより可愛い姿に戸惑う俺。 こうして大勢の人だかりで、よく見ると、やっぱり彼女は、可愛いなって、今更ながら確信する。 それに、男の俺から見ても、今日の為に、オシャレしてきてくれたんだって分かる。 わざわざ休みの日に、人だかりに出てきてまでも、彼女に会えば、来てよかったと思えた。 デートだから、手ぐらい繋いでもいいよな? 歩きだす彼女の手を繋ぐ。 すると、彼女は、驚いて目を丸くして、その後、顔を赤くした。 「嫌?」 俺は戸惑って聞く。 彼女は、首を横にブンブンふって、照れたように笑う。 なんだよ、この反応……、すげぇかわいい。
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