【プラン1】 ショッピング

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 洋一は明美を連れてショッピングモールへと足を運び、そのまま家電量販店へと入って行く。  それを遠目から見る拓也の横で、聡美は小刻みに震えていた。 「なんだ、普通に楽しそうじゃん……ん? どうした、聡美?」 「何で……何で家電量販店なのよ! そんなところが好きなのは基本的に男だけよ! 女の子が唯一気になる美容家電なんて、デートで見るのは気が引けるでしょ! 掃除機とか冷蔵庫を見たいの!? 同棲もしてないのに!? 炊飯器を見ながら、君の手料理が食べたいって言うの!? それとも洗濯機の前で、僕のパンツを洗って欲しいって言うつもりなの!?」 「おっ、落ち着け!」 「はあっ……はあっ……ごめん、妄想が爆発したわ」  拓也になだめられて落ち着きを取り戻した聡美は、辺りを見渡して何かを見つける。  そして聡美は拓也の手を引き、近くにいたチャラそうな女子大生の2人組に声を掛けた。 「お姉さん。あの……お願いがあるんですけど」 「えっ、私? やだ、この子達……凄い美少年と美少女じゃない」 「本当だ!? ……それで私達にお願いって何なの?」  聡美は捨てられた子犬の様な目をしながら女子大生を見つめる。 「あそこにデートしているカップルがいますよね? その男の方にだけ聞こえる様に……」  聡美が背伸びをして耳打ちすると、女子大生達は笑顔で答えた。 「オッケー! それぐらいの事ならいいよ。あの人のデートを成功させたいんだよね?」 「ありがとうございます!」  深々と頭を下げる聡美は、拓也の頭も無理やり押さえ付ける。 「いいって、いいって。それじゃあ行って来るよ」  そう言って女子大生達は洋一の近くへと行き、明美に聞こえない絶妙な声のトーンで会話を始めた。 「家電量販店って女には面白くないよね」 「そうそう。美容アイテムとかは気になるけど、デートなら隣にある店で可愛いアクセとか小物を見るべきよね」  聡美達に声までは聞こえないが、どうやら上手く行ったらしい。  すぐに洋一は明美を連れて隣の店へと移動する。  笑顔で手を振る女子大生に対し、聡美はもう一度頭を下げてから尾行を再開した。
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