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「言ってくれればいいのに。今までずっとごめんね。晃くんに嫌な思いたくさんさせてしまったね。怪我もだいぶ治ったし、もう全然大丈夫。私の事は、気にしなくて大丈夫。もう、1人で登下校も出来る。今日まで本当にありがとう。彼氏になってくれてありがとう。すっごく楽しかった。折角待っててもらったのにゴメンなんだけど、今日から1人で帰るね」
そこにいたのは、優衣だった。
優衣は目に涙を溜めていて、でも零すまいと必死に笑っていた。
優衣は、足を引きずりながら自分の席に行くと、机の脇に引っ掛けたカバンを手に取り、肩にかけた。
「…一緒に帰ろう、優衣。まだ完全に治ってないじゃん」
晃が優衣の傍に寄る。
「1人で帰れるって言ってるじゃん。晃くんと私は、もう彼氏彼女じゃないんだよ。晃くんに、私と一緒に帰らなきゃいけない義務なんかないんだよ」
優衣が晃の横を通り過ぎた。
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