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晃が、困った様に俺に目配せをする。
「優衣、じゃあ俺と一緒に帰ろう」
優衣に駆け寄り、優衣の腕を掴んで引き止める。
「何言ってんの? 次、律の番だよ。早く進路指導室行きなよ」
優衣が俺の手を振り切って歩き出す。
「待ってって。進路指導なんかいいよ。まだ1年だし。一緒に帰ろう」
「一緒に帰ったら、律のサボりの片棒を担がなきゃいけない事になるでしょうが。…てゆーか、一人にしてよ。一人で帰りたいの!!」
優衣の瞳から涙が零れ落ちた。
拭っても拭っても溢れてきてしまう涙を、それでも何度も袖で擦って、優衣は教室を出て行った。
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