迂回。

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 優衣を気にしつつ、仕方なく進路指導室へ向かう。  担任と向かい合って座ると、担任が早速俺の成績の事、進学を希望した場合、就職を希望した場合の話をし出した。  …全っ然入ってこない。  優衣の事が気になって、担任の話は右耳から左耳に留まることなく抜けていく。  優衣はまだバスに乗っていないだろうか。  今から走れば、チャリに乗って追いかければ間に合うかもしれない。  「…第一希望、東大。第二希望、東大。第三希望、東大!!」  「はぁ?」  「先生ゴメン!! 超大事な急用があって。帰らせて!! また明日!!」  担任の『待て!!』の声を聞こえなかった事にして進路指導室を飛び出した。
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