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「優衣!!」
バスが到着する前に、なんとかバス停に辿りついた。
そこにバスも到着。
優衣は、泣いて真っ赤になった目で、チラっと俺の顔を見たけれど、すぐに視線をバスに向けるとそのまま乗り込もうとした。
「待って、優衣。バス乗らないで」
優衣の腕を掴んで力ずくで引き戻す。
「放してよ。バス乗るの!!」
優衣が俺の手を振り払おうとするから、力を強めて優衣の腕を握る。
「お客さん、乗るの? 乗らないの?」
困りながら尋ねる運転手さんに、
『乗ります!!』『乗りません!!』
2人同時に別の返事をして、更に運転手さんを困惑させる事に。
「乗りません!! 他の乗客の方に迷惑かかっちゃうので、ドア閉めて発車しちゃって下さい!! 俺、怪しくないんで!! このコ、俺の妹なんで!!」
咄嗟に嘘を吐き、無理矢理バスを発車させた。
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