迂回。

13/15

426人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
 「優衣!!」  バスが到着する前に、なんとかバス停に辿りついた。  そこにバスも到着。  優衣は、泣いて真っ赤になった目で、チラっと俺の顔を見たけれど、すぐに視線をバスに向けるとそのまま乗り込もうとした。  「待って、優衣。バス乗らないで」  優衣の腕を掴んで力ずくで引き戻す。  「放してよ。バス乗るの!!」  優衣が俺の手を振り払おうとするから、力を強めて優衣の腕を握る。  「お客さん、乗るの? 乗らないの?」  困りながら尋ねる運転手さんに、  『乗ります!!』『乗りません!!』  2人同時に別の返事をして、更に運転手さんを困惑させる事に。  「乗りません!! 他の乗客の方に迷惑かかっちゃうので、ドア閉めて発車しちゃって下さい!! 俺、怪しくないんで!! このコ、俺の妹なんで!!」  咄嗟に嘘を吐き、無理矢理バスを発車させた。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

426人が本棚に入れています
本棚に追加