426人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
彼女持ちの男と2ケツをしたがらず、泣き止みもしない優衣をチャリの後ろに乗っけて帰る為、何とか説得を試みると、『お姉ちゃんに何か言われたら、私のせいにしてね。在らぬ誤解で2人に蟠りが出来たりすると、こっちがいたたまれないから』と優衣が退いた。俺の粘り勝ち。
荷台に乗った優衣は、ずっと泣いていて。
晃に振られた事がそんなに悲しいのか。 と思うと、何だか複雑だった。
何故か、晃に嫉妬心の様なものが芽生える。
優衣にこんなにも想われていた晃が、羨ましかった。
優衣の涙がなかなか止まらないので、遠回りして帰る事に。
「律、道が違う」
「優衣、泣きすぎ。ちょっと風に当たって目の周り冷やしてから帰ろうよ。その顔家族に見られて心配されるの、面倒じゃね?」
本当は、もう少し優衣とこうしてたかっただけなのだけれど、それらしい理由をつけてわりと遠めの道を選択。
慰める事も出来ないくせに、もっと優衣と一緒にいたかったから。
「ありがとね、律。いい加減泣くの辞めるわ。…よし!! 歌う!!」
優衣は悲しみを振り切るかの様に、謎に中学の校歌を元気いっぱいに大声で歌い出した。
…歌のチョイス。そして、
「…音痴。」
涙を堪えて歌う優衣の声は、不安定にかすれていた。
最初のコメントを投稿しよう!