畦道。

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 「…俺も優奈さんの事が好きだよ。…でも俺、バカでガキだから、まだ好きな人よりも、幼なじみと一緒にいたいんだ。優衣といたい。…だから、優奈さんと一緒にいる事は、もう出来ない」  俺が話したかった事。優奈さんに、別れを告げる事。  「…優衣はずるい。いつも正しくて可哀想な子を演じて、同情誘ってみんなを自分の味方につける。その度に私が悪者になって。昔から優衣はそうだった」  優奈さんが、足元に視線を落としながら目に涙を溜めた。    優奈さんの言う通り、人懐っこくて天真爛漫な優衣は、どちらかというと人見知りタイプの優奈さんよりは、大人たちに可愛がられていた。  「優衣は喜怒哀楽を表に出して、みんなと共有するタイプだからね。優奈さんはそういうの、あんまりしないから周りに伝わり辛いよね。損してるなーって、傍から見てて思ってたよ。ただ、『優奈さんも優衣みたいに分かり易く感情出した方がいいよ』とは思わないけど。大人で落ち着いているのが、優奈さんの魅力だと思うし。  優衣は、別に演技なんかしてないと思うよ。優衣の嘘ってすぐバレるじゃん。 優衣に演技力なんかないよ」  だって、優衣と俺の秘密、晃に普通にバレてたし。…俺が悪かったのかもだけど。
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