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「優衣の事、好きとかそういう事じゃなくて…「この期に及んでまだそんな事を言うんだ」
話し出した俺を遮ると、『律くん、理解力なさすぎだよ。だから赤点いっぱい取るんだよ』と優奈さんが強気に嫌味を言いながらも、目から涙を落とした。
「さっきの私の話、ちゃんと聞いてた? 『幼稚園児でも、幼なじみより好きな人に重きを置く』の。律くんは、私じゃなくて優衣を選んだの。2回も同じ事を言ったんだから、いい加減分かるよね?」
優奈さんが、俺を諭す様にさっきより話す速度を落とした。
優奈さんの言いたい事は、流石に分かる。だけど、
「俺、本当に優奈さんの事が好きだったよ。昔から。ずっとずっと」
小さい頃から、いつも優奈さんを目で追っていた。見つける度にドキドキして。 恋焦がれてた。
優奈さんの事が、大好きだった。
「それは、1番大事な人が当前の様にいつも傍にいて、自分の手から離れていくなんて思いもしなかったからだよ。優衣といるのが自然。優衣を好きなのは普通。だから、一緒にいるのが当たり前じゃない、幼なじみでもない、優衣の次に好きな私の事を『1番好き』って勘違いしたんだよ」
優奈さんの言い分が、『俺が優衣を好き』という態にする為に無理矢理こじつけた作り話に聞こえた。
「違うよ」
「違わないでしょ!! 私より優衣を択んだくせに説得力ないんだよ!!」
俺の否定を、優奈さんが強めに打ち消した。
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