畦道。

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 「…そうかな」  優奈さんの言う通りなら嬉しい。でも、優奈さんの話はあくまで優奈さんの見解。優衣が言ったわけではない。  だって優衣は、晃に振られて号泣していたし。  「ちゃんと確かめるんだよね? 優衣を理由に私を振っておいて、告らないとか…ナイわ。ありえない」  優奈さんが、鼻水ではなく涙を拭き取ったティッシュを、嗾ける様に俺に投げつけた。  「…明日、優衣と話します」  こんなに優奈さんを泣かせておいて、何も行動を起こさないとか、確かに有り得ない。  「うん。がんばれ」  優奈さんがカバンを持ち上げ立ち上がった。  ドアノブに手を掛け部屋を出ようとした優奈さんが振り返る。  「…結構前から律くんの気持ちに気付いてたから、言うの虚しくて1回も言ってなかったんだけど…今日でカップル終了なので最後に言っておくね。  わ、律くんが大好きだったよ。私が毎日律くんの部屋に尋ねに来てたの、自分の家に帰り辛いからだと思ってたでしょ? それもあるけど、そんな事より律くんに会いたかったからなんだよ。…言いたい事は以上です。じゃあね。おやすみ。ばいばい」  優奈さんは、俺の『おやすみ』を待たずにドアを閉めると足早に俺ん家を出て行った。  優奈さんの言う通り、俺は気付いていなかっただけで、ずっと優衣を想っていたのかもしれない。  だけど、辻褄合ってないかもだけど、俺の初恋は間違いなく優奈さんだ。
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