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そんな何とも言えない1日をやり過ごし、下校時間になった。
「優衣、一緒に帰ろう」
カバンに荷物を入れながら帰り支度をしている優衣の傍に移動する。
「どこで話す? 大切な話があるんでしょ?」
優衣は、俺の話は聞くけれど一緒に帰る気はないらしい。
「視聴覚室とか?」
とりあえず、人がいなさそうに部屋を提案すると、
「じゃあ、行こっか」
優衣は、荷物を淹れ終わったカバンを肩に掛けると、先に歩き出した。
2人で視聴覚室に場所を移す。
視聴覚室は予想通り誰もいなかった。
2人で適当な席に座る。
「何でお姉ちゃんと別れたの?」
優衣が、朝聞きたがっていた質問を早速してきた。
「優衣が、俺の事を避けるから」
俺は男のわりにお喋りな方だと思うが、頭が良くない分、話下手だ。だから、自分の言いたい事が上手く相手に伝わらない事が多々ある。
「何それ。私が悪いの?」
故に、優衣を不機嫌にさせてしまう。
違うのに。そうじゃないのに。
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