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「そういう事じゃなくて…。俺、優奈さんより優衣といたいんだ」
『好きなんだ』という言葉が、いざとなると出てこない。
恥ずかしくて、緊張して、振られて今以上に関係が悪化するのが怖くて。
「…優衣と晃が別れた時、正直ホッとしたってゆーか、本当は嬉しかったんだ」
だから、しょうもない話で遠回りしてしまう。
「…最低。振られた私を見て喜ぶって…」
そんなどうしよもない俺だから、優衣から白い目を向けられてしまう。
「だって、優衣の事が好きだから!!」
挙句、誤解を解くべく、思いがけず焦って告る始末。あんなに躊躇していたのに。
「…え」
驚いているのか、困っているのか、怒っているのか分からない表情で、優衣が俺を見た。
「優衣、やっぱり俺の事、赦せない? どうしても赦してもらえない? 何回だって謝るし、出来る事なら何でもするよ、俺」
優衣の事が好きだ。せめて、仲直りだけでも、是が非でもしたい。
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