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「優衣は俺の事…嫌い? 赦せない俺の事は、嫌いか?」
優衣の涙を親指で拭う。
「嫌いだったらこんな事になってない。ウチら、ちっちゃい頃からずっと一緒だったんだよ。簡単に嫌いになるわけないじゃん」
拭ったそばからまた涙を零す優衣。
優衣が泣いているのに、優衣がオレを嫌っていない事にホっとした。
優衣は俺を嫌っていない。だったら…。
「……じゃあ、俺の事、好き?」
「……だから、分かんないの。律の事、未だに赦せない。なのに、気になるのも確かで…」
優衣が、どっちともつかない、どうにもムズ痒い返事をした。
だけど、これが優衣の本心なんだと思う。
優衣の気持ちがどっちつかずだったなら、俺がハッキリさせる。
「俺は、優衣と晃が付き合った時、なんかモヤモヤした。全然祝福出来なかった。優衣は? 優奈さんと俺が付き合った時、どう思った?」
「…口では『律とお姉ちゃんが付き合う事はめでたい事』とか言ってたけど、私も本当は、喜んではいなかった。でもそれは、私が事故に遭っていた時にそういう関係になったから、素直に喜ぶ事が出来なかったのかなって」
優衣も、俺と優奈さんが付き合う事を快く思っていなかった。
でもそれは、俺とは違う理由なのかもしれない。
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