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「球技大会の時さ、優衣、俺の写真いっぱい撮ってくれたんだろ? 優奈さんから聞いた。そんなに撮ったの?」
「…お姉ちゃんの事だって、正直赦せてない。だけど、私が避けるせいで家の中の空気が未だに悪くて。ちゃんと仲直りしなきゃって。お姉ちゃんの喜ぶ事をしようって。…そしたら、球技大会の日、律ばっかりカメラで追ってた」
気のせいか、優衣の顔が少し赤くなった気がした。
泣いたせいかもしれないけれど、もし照れているんだとしたら…。
「俺とは仲直りしようとしなかったくせに。てゆーか、俺ばっかり撮ってたの? 晃の事は?」
「…4、5枚」
自分でも、自分の行動はおかしいと分かっているからだろう。優衣が言い辛そうにボソっと答えた。
優衣が晃より俺の方を多く撮ってくれていた事は嬉しいが…。
「そりゃ、振られるよ。優衣」
「…ですよね」
優衣が苦々しく笑った。
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