交差点。

11/16

426人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
 「球技大会の時さ、優衣、俺の写真いっぱい撮ってくれたんだろ? 優奈さんから聞いた。そんなに撮ったの?」  「…お姉ちゃんの事だって、正直赦せてない。だけど、私が避けるせいで家の中の空気が未だに悪くて。ちゃんと仲直りしなきゃって。お姉ちゃんの喜ぶ事をしようって。…そしたら、球技大会の日、律ばっかりカメラで追ってた」  気のせいか、優衣の顔が少し赤くなった気がした。  泣いたせいかもしれないけれど、もし照れているんだとしたら…。  「俺とは仲直りしようとしなかったくせに。てゆーか、俺ばっかり撮ってたの? 晃の事は?」  「…4、5枚」  自分でも、自分の行動はおかしいと分かっているからだろう。優衣が言い辛そうにボソっと答えた。  優衣が晃より俺の方を多く撮ってくれていた事は嬉しいが…。  「そりゃ、振られるよ。優衣」  「…ですよね」  優衣が苦々しく笑った。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

426人が本棚に入れています
本棚に追加