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「時間って、どのくらいかかるの?」
俺はあとどれだけ待てば良いのだろう。
「…そんなの分かんないよ」
俺は、優衣にも分からない時間を待ち続けなければいけないの?
「…待てないよ」
「…え」
「そんな、保障も期限もない時間、待てないよ。優衣はいいの? 今仲直りしないと、これで俺ら、終わっちゃうよ?」
せっかちな俺は、一気に賭けに出る。だって無理だ。期待持たされたまま、優衣と会話する事さえままならない時間がこれからも続くなんて。だったらいっそ振られて、一縷の望みさえ握り潰して欲しい。
「それは…やだ」
悲しそうな目で俺を見つめる優衣が、愛おしくて。
引き寄せても、どうせ優衣は拒むから、自分から優衣に覆いかぶさる様に抱きついた。
「…俺にこうされるの、気持ち悪い?」
「…ううん。…律、嘘吐きだよね。『私が許せる気になるまで待つ』的な事を言ってたくせに」
優衣が、俺の背中にそっと腕をまわした。
もっと触れたい。優衣とキスがしたい。だけど、
「うん。だから、これ以上はしないから。優衣が俺に触られるのが嫌じゃなくなるまで、変な事しないから。これは待てるから。だから、ずっと一緒にいようよ。いつも傍にいてよ。優衣がいないと、落ち着かないんだ」
優衣が嫌がる事はしない。優衣が隣にいてくれるなら、それだけで充分だ。
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