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わけも分からす、優衣の行動に動揺していると、奥のダイニングチェアーに座って苦笑している優奈さんと目が合った。
俺に笑いかけると、椅子から立ち上がり、俺らの方へ歩いてくる優奈さん。そして、
「相変わらずズル賢いなぁ、優衣は。でも今日のはあまりにも白々しい。自分の事、悪人だなんてこれっぽっちも思ってないくせに。わざとバレバレな嘘吐いて、律くんとお姉ちゃんを庇う、自己犠牲の健気なコを装えば、お父さんとお母さんは反対しにくいもんね。良心が咎めちゃうから」
優奈さんが、頭を下げたままの優衣に意地悪く笑った。
優衣が、下を向いたまま口を尖らせる。
『優衣はずるい。可哀想なコを演じて周りを味方につける』
ふと優奈さんの言葉を思い出した。
…あぁ。なるほど。こういう事か。
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