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お会計を終えて、怪我している優衣に無理をさせない程度に足早にマンションへ帰る。
「…ねぇ、律。ウチら、付き合ってるわけだから…手でも繋ぎませんか?」
優衣が、遠慮がちに右手を差し出した。
正直、ずっと繋ぎたいなと思ってた。でも、『変な事はしない』と約束した手前、長時間優衣に触れる事をしてはいけない様な気がして、自分からは出来ないでいた。
「繋ぎたいです」
優衣と指を絡めて歩く。
「…幼稚園ぶり? 律と手繋いで歩くのって」
俺を見上げる優衣の顔が、月明かりに照らされてちょっと大人っぽく見えた。
「そんくらいかなぁ。優衣、小学校にあがった途端に『周りにイチャイチャするなってからかわれるから』って繋いでくれなくなったもんな」
「え? それ言ったの律じゃなかったっけ?」
「え? 俺だっけ?」
「私だった?」
こんなに記憶力悪いのに、俺らはN大に受かるのだろうか。
「ウチらも大人になりましたねー。また手を繋げる様になりましたねー。恋人同士になっちゃいましたねー」
「そうですねー。じいさんばあさんになっても繋いでましょうね。優衣さん」
「そうしましょうね。律さん」
今日から、幼馴染まない。
おしまい。
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