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「・…付き合っちゃおうか、ウチら。『身近な所のラブチャンス』って事で」
「…え」
優奈さんの思いも寄らぬ提案に固まってしまった。
「嘘嘘。冗談だよ」
優奈さんが笑いながら、くっついていた身体を俺から剥がした。のが、何かもの凄く淋しくて。
「…今の、本気にしちゃダメですか?」
正直、優奈さんを好きなのかどうなのか分からない。でも、自分より年上のはずの優奈さんは、どこか危なっかしくて、ほっとけない。
目が、離せない。
「…え」
今度は優奈さんが固まる。
「俺じゃあ、律の代わりは務まりませんか?」
優奈さんの目を直視しながら訴えかけると、
「…『優奈さん』って呼ぶの、やめてくれたら付き合ってもいいよ。律くん思い出すから。晃くんには呼び捨ててほしい。あと、敬語もやだ。晃くんは晃くんでいて。律くんの代役なんかしなくていい」
優奈さんが真顔で俺を見つめ返してきた。
「…じゃあ、優奈も俺の事、呼び捨ててよ。優衣思い出すから」
「了解です」
笑顔で答える優奈が可愛くて。
再び抱き寄せる。
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